ホテルローヤル

読書

この本、そういえば前に付き合っていた人に貸してもらっていた本でした。あの人は、この本を通して自分になにかを伝えたかったのか、どうなのか…今となってはわかりません。

北国の湖畔に立つ、寂れたラブホテル。そこに撮影に来るカップルや、そこで起きた出来事を抱えつつ生きる女性の姿…などが描かれた短編集です。

自分自身や、近しい人の心の穴を覗きつつも、明日に向かって生きるひとたちの姿が描かれています。

「ひとの心の在処に、気づかぬふりをして通り抜ける。考えても考えても答えの出ない日々を、これからもずっと歩いて行かなければならない。ーー本日開店。道は一本しかない。」

「ホテルローヤル」収録作「本日開店」より引用。

人生の選択。その先が光でも闇でも、毒でも薬でも、前へ進む。そんな登場人物たちの「心のかまえ」を感じました。

順々に時間を遡っていく連作短編集の構成となっています。そのため、読者は主な人物の生き様を、末路がある程度提示された状態で追うことになります。そのためか、つい温かい目で見守ってしまいます。時に応援までしたくなっています。まるで、作中に登場する、寂しさ抱えた人を見守る「夜空の星の」視点で…。

この本…。あの時にもっと早く読んでいれば、あの人ともまた違った関係でいられたのかな?とふと思いました。

いずれにしても、ずっと借りっぱなしだったので、そろそろ貸してくれた本人に返そうと思います。

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