「神隠し」から帰ってきた少年。 少年のまわりで、不可解な出来事が起こり始める…。 「何かが、おかしい。」そんなひっそりとした怖さからスタートしていく物語。
Twitterのフォロワーさんが教えてくださった通り、この本を何の先入観もなく読めた幸せというものを味わえました。
「 十二国記」を今後読み進めていくにつれ、さらに実感していくのでしょう。
ごく個人的な感想ですが、村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」にも、根底のところで通じるものがあるなと思いました。
これは読む人の受け取りかた次第になる世界の話で、あくまでも私が感じたこと、でしかないのですが…
主人公が生活する「現代社会」と、それとは別に存在する「異世界」とがそれぞれ描かれており、異世界とは、人の潜在意識の世界について描かれているのではないかと感じさせる点です。
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」は、異世界は実はハードボイルド的な生活を送る主人公の潜在意識の中に存在するものであると描かれています。
一方で「十二国記」は、実際に異界の妖魔が現世に現れる点など、ダークファンタジー風な描かれ方はされていますが、登場人物が昏睡状態のさなかに異世界に迷い込んだ描写がなされており、異世界とは人の潜在意識の中に存在するものと解釈することは十分に可能な作品だと思っています。(異世界の世界地図の、大陸が整然とした形で並んでいる点も、私はそのように読み取りました。)
潜在意識については、また別の機会に書きますが、人が生きていく上での、あるいは物語を読んでいく上での重要なキーワードであると思っています。
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