生の実感と死との理想的な時間差について。小説ストロベリーナイト

読書

私の読書史上、最悪。そう間違いなく言えるほどの残酷な冒頭シーンで幕を開ける小説。


ブックオフで、なぜこの小説が目を引いたのだろう。なぜ私は冒頭を立ち読みしてレジに持って行ったのだろう。不思議な磁力がある。理由として言語化できたのはそれだった。

映像版の主役は竹内結子さん。主人公・姫川玲子にイメージが合いすぎている。哀しいほどに。

小説に登場するのは、昼間はどこにでもいそうな平凡な日常をこなしつつも、生きている実感を獲るために、残忍な殺人ショーに興ずる人々。そして、過去に死ぬほど辛い目に遭ったものの、人を助ける刑事という仕事に生き甲斐を見つけ、命をかけて仕事をすることによって、おそらくは生の実感を掴み取っている姫川玲子。

生きている実感。生きる意味。一期一会の有難さ。心の底から納得するためには、平凡な日々の中からでも、自分が見つけてつかむしかない。それが難しいのだけれど。

願わくば1人でも多く見つけられますように。人生の終わりがもう間もなくだと実感する瞬間よりも、なるべく前に。

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