この本を、自分の大切な家族の「その日」の前に読めてよかった。
自分はあと何回、家族や友人に会えるかは、誰にもわからない。忘れがちだけど、意識すると接し方が変わります。
「くっだらない番組を『くっだんねーの』と笑いながら観られるのは、じつはすごく幸せなことなのかもしれない。」
死を意識して初めて光のあたる生。それに気付くかなしさ。
「感情の高ぶらない悲しさって、ある。初めて知った。涙が、頬ではなく、胸の内側を伝い落ちる。」
自分には今まで言語化できていなかった悲しさ。
「もう取り戻すことができなくなってから、やっとわかる。」
できるだけ家族の前では、機嫌良くいよう。ありがとうをたくさん言おう。そんな気持ちにさせてくれます。背筋が正される思いです。
「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」ノルウェイの森の一文が、なぜか思い出されました。
どこまでも死を否定したい顕在意識。一方、時に静かな身体感覚を通して受容を促す潜在意識。
自分は、「その日」をどう迎えるのだろう…。
その日のまえに (文春文庫 し 38-7)
僕たちは「その日」に向かって生きてきた――。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。発売当初、TBS「王様のブラ...
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