精巧に組み立てられた芸術品のような小説。
異性と付き合った経験のない主人公が、ある女性と出会ってから、試行錯誤しつつも次第に距離を縮めていく、甘酸っぱいラブストーリー。
と、思いきや、ラストには予想もしない・できない記述があり、それまでの台詞の意味合い全てがひっくり返る。
読んでいる途中(どこからというのはネタバレに繋がるので言えない)から「あれっ?」という違和感を感じたものの、まさか最後にあんな景色が提示されるとは予測できず…。
でも、予測なんてできなくていいのです。そのぶん鮮烈な驚きを楽しむことができるから。
そして、知らず知らずに最初のページから読み直す手と目を止めることはできない…。
人生の出来事は、関わる人それぞれの思惑と、偶然の出来事と、タイミングとが複雑に編み込まれていく。だからこそ人生に「絶対」と言えるものはない。と考えさせられました。
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